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読書記録36 The Indifference Engine

読書記録36回目。

The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)The Indifference Engine (ハヤカワ文庫JA)
(2012/03/09)
伊藤 計劃

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--あらすじ--

ぼくは、ぼく自身の戦争をどう終わらせたらいいのだろう・・・・・・戦争が残した傷跡から回復できないアフリカの少年兵の姿を生々しく描き出した表題作をはじめ、盟友である芥川賞作家・円城塔が書き継ぐことを公表した『屍者の帝国』の冒頭部分、影響を受けた小島秀夫監督にオマージュを捧げた2短篇、そして漫画や、円城塔と合作した「解説」にいたるまで、ゼロ年代最高の作家が短い活動期間に遺したフィクションを集成。

--感想--

短編集ということでその中の二つについて。

一つ目は「The Indifference Engine」。ルワンダ紛争の少年兵の話。Indifference Engineは脳に作用して顔から民族を判断出来なくさせる医学的処置を言う。紛争終了後その処置を施された「ぼく」は自分の民族と敵対民族の区別が出来なくなってしまう。
こうゆう技術があれば素晴らしいと思う。それこそ国境も民族もない世界が出来る。でもそれによって憎しみや殺しあった記憶は消えるわけではない。「必要」があるから憎み戦ったという大人達はかつて敵であった民族を仲間と言い始める。大人に言われるがまま憎み戦うことしか出来なかった子供達は終戦を受け入れられない。この対比がとてもリアルだった。戦争が終わっても一人ひとりの戦争が終わるわけではない。

「戦争は終わっていない。僕自身が戦争なのだ。」

という少年の決意がそれを表している。読み終わって悲しい気持ちになったが、自分の中では一番好きな短編になった。


二つ目は「セカイ、蛮族、ぼく」。少し笑える内容になっていて、こうゆうのももっと読みたいと思った。パンを口にくわえて走ってきた女の子をいきなり犯すという書き出し。なぜかツンデレな学級委員長。下品な笑い方の父さん。息抜きにはぴったりの作品だった。

余談ですが「虐殺器官」、「ハーモニー」と今作は装丁が黒、白、灰色となっていてとてもかっこいいです。並べたくなります。

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[ 2012/09/28 20:54 ] 読書記録 伊藤計劃 | TB(0) | CM(0)

読書記録35 ハーモニー

読書記録35回目。


ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)ハーモニー (ハヤカワ文庫JA)
(2010/12/08)
伊藤 計劃

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--あらすじ--

21世紀後半、〈大災禍〉と呼ばれる世界的な混乱を経て、人類は見せかけの優しさと倫理が支配する“ユートピア”を築いていた。そんな社会に抵抗するため、3人の少女は餓死することを選択した……。 それから13年後。死ねなかった少女・霧慧トァンは、医療社会に襲いかかった未曾有の危機に、ただひとり死んだはずだった友人の影を見る――『虐殺器官』の著者が描く、ユートピアの臨界点。日本SF大賞受賞作。

--感想--

世界設定から、登場人物まで結構好みだったし、ラノベに近い読み易さもあって一気読みだった。

「虐殺器官」後の世界の話らしいけど、この世界は非常にリアリティがある。医療、福祉が発達し、病気で死ぬことがない世界。なにもかもを管理し、社会のリソースとして個人が扱われる世界。確かに理想郷、ユートピアであって目指すべき世界なのかもしれない。さらにそこから人々の意識を削除して、完全に調和的な世界を理想とする機関が登場する。人々の意識を消すことで完全に社会的な存在になる。これは一つの社会という生き物になるという意味でエヴァに近いのではと思った。あっちは自我の境界を消そうとしていたわけだが。人間の社会性を究極に突き詰めると一つの意思というか、一つのなにかになるしかないのか。

そもそも意識というのが何なのかとよく分からないのだが、技術が進歩していくことで個人という考え方が邪魔になっていくのは想像はできる。そうするとじゃあ自分は何のために生きるのかと彼女達はお互いの意見をぶつける訳で。病気で死なないからそれこそ社会の歯車でしかない。ただ社会のために生かされているだけ。そんな時代になってしまったら怖いと思う。生かされているのと生きているのでは違うしね。

よく分からなくなってしまったけどとにかく面白かった。
[ 2012/09/25 23:29 ] 読書記録 伊藤計劃 | TB(0) | CM(0)

読書記録27 虐殺器官

読書記録27回目。

虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)虐殺器官 (ハヤカワ文庫JA)
(2010/02/10)
伊藤 計劃

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--あらすじ--

9・11以降の、“テロとの戦い”は転機を迎えていた。先進諸国は徹底的な管理体制に移行してテロを一掃したが、後進諸国では内戦や大規模虐殺が急激に増加していた。米軍大尉クラヴィス・シェパードは、その混乱の陰に常に存在が囁かれる謎の男、ジョン・ポールを追ってチェコへと向かう…彼の目的とはいったいなにか?大量殺戮を引き起こす“虐殺の器官”とは?ゼロ年代最高のフィクション、ついに文庫化。

--感想--

面白かったです。読み終わるのが惜しいと思った。

近未来を舞台に様々な技術が登場してそれだけで興味を引かれる。理系で特に自分と同じ工学系の人は結構好きなんじゃないかと。こうゆう近未来の発展した技術はかっこいい。加えて実現可能なのではという現実感がある。また、現実感といえば作品中の社会情勢はまさにそれにあたる。

あらすじにあるとおり「虐殺器官」とはなんなのかを中心に話が進んでいく。ときおり哲学的、宗教的な話が登場して僕の頭で消化しきれない部分が多々あった。やっぱり読書を楽しむには知識が必要だ。筆者に並ぶくらいの知性の人ならもっと深く読めるのだろう。

読み始めは一人称に違和感があって「なんかなぁ~」と思ったけど、気づくとのめり込んでいた。SFの要素だけでなく先に書いた哲学的、宗教的、その他の要素が混ざり合っているけど、スラスラ読める。結論としては「ゼロ年代最高のフィクション」恐るべし。続編があるみたいなので読みたいです。
[ 2012/08/26 22:38 ] 読書記録 伊藤計劃 | TB(0) | CM(0)



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